【パーソナル心理学】【人生を生きやすく】貴方は他人をどのように評価していますか?
はじめに
皆さんは自分自身をどのような人間であると思いますか。
"理想の自分"はどのような人間でしょう。
どのような人物像を他者に求めますか。
自己と他者ー社会で生きていくにあたって他者との関係は切っても切り離せないものです。
他者に対する考え方や評価を振り返ることで自分自身を見つめ直してみましょう。
人間観察から【他者】を考える
「人間観察が趣味です。」という方、いらっしゃると思います。
趣味までいかなくとも、「あの人は今怒っているんだろうな。」「あの人お洒落だな。この後デートなのかな。」などと見知らぬ他者にぼーっと思いを巡らせることはよくありますよね。
人間観察をした結果「あの人はこういう人なんだろう!」と自分の中で他者を定義づける時、人は大きく3つのアプローチで他者のことを考えているようです。
あんな行動しているということは、あの人は
あんな行動しているということは、あの人は
あんな行動しているということは、あの人は
あんな行動しているということは、あの人は
遊びとしての人間観察は楽しいものですが、その"瞬間"の行動だけでその人のパーソナリティ(人格)を理解することはできません。
あくまで自分の【推測】に過ぎないことは気に留めておきましょう。
また、一つの行動を見ても捉え方は人によって様々です。
街頭でスピーチをする人物を見て「堂々としていてかっこいいな。」と思う人もいればそうは思わない人もいます。
人によって他者を評価する基準が異なる為です。
【自己と他者】複数の評価基準をもって生きる
複雑で曖昧な評価基準
【新卒の男性A】は「出世する人間ー出世しない人間」を他者を評価する唯一の基準としていました。
その為、営業成績が良いことで社内で有名な上司Aと仕事や指導は丁寧だが営業成績の芳しくない上司Bを比べた時に、「上司Bは優しいが出世するのは上司Aだろう」と上司Aのみを高く評価していました。
ある日男性Aは重大なミスをしますが、上司Bの適切な指示によって事態を丸く収めることができました。
このことがきっかけで男性Aは「上司Bのように周りの人間が困った時に手を差し伸べられる人間になりたい。」と思うようになります。
これまで男性Aは出世する人間であるかどうかで他者を評価していましたが、上司Bとの出来事がきっかけで「周りに気を配る人間ーそうでない人間」という評価基準が加わりました。
このように他者への評価基準は関係性や人生経験によって変化するものであり、人間のもつ評価基準というのは複雑で曖昧なものであることが分かります。
評価基準の崩壊
男性Aはこれまで他者を「出世する人間ーしない人間」で評価していましたが、「出世する人間」であることは男性自身の理想であり、自分を認められる唯一の評価基準でもありました。
しかし評価基準が一つしかない場合、将来精神的な支障を来す可能性があります。
「出世」を"理想"として追っているうちは大丈夫なのですが、年月を重ね「昇進テスト」等実際に出世の機会が来た時が問題です。
「出世する人間」が唯一の評価であるということは、そのテストの結果によっては「自分は絶望的に駄目な人間である」というようなレッテルを貼り付けることになります。
評価基準が1から0となり、評価基準の崩壊(=アイデンティティの喪失)が起きるのです。
その為男性Aの感じる「昇進テスト」への精神的重圧は計り知れないほど大きいものとなり、心身に不調をきたす危険性があるのです。
人に"やさしく"自分に"やさしく"
男性Aは上司Bとの出来事がきっかけで徐々に様々な観点から他者を評価できるようになりました。
これは自身のことも様々な観点で認めることができるようになったということです。
他者に対して複数の評価基準をもつことは自分自身の【生きやすさ】にも繋がってくるのです。
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本
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ハーバードで3年連続人気教授に選ばれた著者が教える最新のパーソナリティ心理学。本当の自分を知れば、もっと自分の能力を活かせる
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精神分析と行動主義が心理学で隆盛を極めた1950年代,G.A.ケリーは,認知・感情・行動を分割せずに統合的にとらえる枠組みを提唱した。認知に焦点を当てた各種の心理療法のほか,パーソナリティ心理学,ナラティヴ心理学などに強い影響を与えた彼の理論とは何か? その誕生と展開を丹念に辿り,現代的な意義を示す。
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